NHK「長すぎた入院。精神医療・知られざる実態」精神科病院大国日本。どうしたらいいのか考えてみた。

2/3にNHKで放映された、NHKドキュメンタリー – ETV特集「長すぎた入院 精神医療・知られざる実態」

をNHKオンデマンドに登録して、やっと見れました。

 

日本は精神科病院大国。世界の精神科病床のおよそ2割を占めている日本。

また、入院日数も先進国では群を抜いて長く、国連やWHOなどからは「深刻な人権侵害」と何度も勧告を受けています。

なぜこのように精神病院大国になってしまったのか?

それは、戦後高度成長期に取られた「隔離収容政策」が原因とも言われています。

精神病患者がもたらす生産阻害〜精神障害者の犯罪や、家族が働けなくなる、というのがその理由でした。

精神病院は治療という目的ではなく、社会から隔離するための収容所としての役割があったのです。

そのため、必要の無い長期入院患者がこれほどまでに多くなってしまった、ということなのでしょう。

 

番組内に登場する、39年間統合失調症で精神病院に入院していたという時夫さん。

現在68歳。8万円の障害者年金でやりくりし、3万5千円のアパートに一人暮らし。

もう一人登場するミチヨさん。

この方も統合失調症で30年間の入院。現在、退院に向けて、グループホームへの外泊を始めたそうです。

そしてもう二人、統合失調症で15年以上入院してきた孝一さんと

車椅子の孝一さんの身の回りを世話をしてきた同じ統合失調症で入院している友人。

孝一さんの退院により、二人が離れ離れになる日の友人の言葉に思わず涙が出ました。

「俺って男が 車椅子を押して やってきたことを忘れないでください。私も忘れません。孝一さんのこと。」

退院して、一人暮らしをする人、グループホームに入居する人。

生活は決して楽なものでは無いでしょうけれど、みなさん笑顔が溢れ、入院中より生き生きして見えます。

 

この笑顔を見ると、長期に渡る入院は本当に必要だったのか?という疑問を持ってしまうのは当然だと思います。

 

「家族や社会での受け皿が無いのだから仕方ない」

という理由だけで、自由を奪われ、長い入院生活を強いられてきたこの方々の人生を思うと

病名をつければ(それが本当に正しいのかという問題も含め)入院させることができるという

今の医療システムに問題があるんじゃ無いかと思いました。

 

かたや今、薬物依存症をはじめとする依存症は「病気」だという認識が世界で広まっています。

依存症は病気なんだから入院させればいい。

その考え方がまかり通ってしまうと、今後日本はさらなる精神病院大国になってしまう危険性があります。

 

では、どうすればいいのか?

番組の中でも語られている通り「人が人として生きられる場所」が必要だ、ということです。

それは隔離された収容所(精神病院)ではなく、地域であり、コミュニティであり、家庭であり、

個人同士のつながりが実感できる場所を、もっともっとたくさん作らなきゃダメだと思います。

 

いろんな形式、いろんな特徴を持った地域サービスを作ること。

とにかくもっともっとたくさんの「場所」が必要。

 

なんとかしなきゃ!と、またまたアセる私です。